女性や外国人だけでない 男性だって多様だ 異なる視点で変革起こせ
ここ数年、日本企業の組織のあり方や日本人の働き方が社会的に注目され、政府の政策課題としても大きく取り上げられてきた。根底には、戦後日本の特異な慣行や制度への疑問があるだろう。日本の会社では、長時間、いかなる時間帯でも、転勤をいとわずどの場所でも、専門問わずどんな仕事でも無限定に引き受ける「正社員」が中核を担ってきた。
このシステムでは家事や育児、介護といった家庭責任を負う労働者は事実上、正社員としては働けない。自然、こうした家庭責任は女性が担い、正社員である男性の家庭責任を免除して支援する世帯のあり方が形成された。日本社会に根強い性別役割意識も、その世帯のあり方を心理的に正当化してきた。
近年、日本社会における女性の地位の低さへの国際的批判の高まりや、人手不足感の強まりなどもあり、さすがに従来の制度も続けられなくなってきた。規制緩和や補助金で、家庭責任の一部である保育のサービスを増やした結果、女性の労働参加率は大幅に上昇した。正社員の無限定な働き方にも反省が促され、家庭とのバランスを取る「ワークライフバランス」が語られる。
しかし多様性推進の動きも壁にぶつかっているように見える。日本人男性が正社員として中核を担い、意思決定層の大半を占める制度慣行に抜本的に手を着けず、場当たり的な対応に追われてきたからだろう。「新たな時代に生き残る強い組織とは何か」という基本的視点からアプローチしなければ打開は難しい。
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