「地球もステークホルダー。その悲鳴を無視した経営は持続可能ではない」

 2019年に入り突如、潤い始めた事業がある。「生分解性ポリマー」。自然界の微生物の働きで分解されるプラスチックだ。仮にこれでできたストローを土に埋めておくと水と二酸化炭素に分解され、自然にかえる。

 東南アジアのタイに現地企業との合弁で工場を建設したのが12年。生産設備の9割近くが眠っていたが、急激な販売増に伴い、今やフル稼働の状況だ。理由と背景は想像の通り。世界的な「脱・使い捨てプラスチック」の機運の高まりにある。このままでは50年に海洋プラスチックごみが魚の量を上回るという試算も出た。だから海洋に流れ出るごみをゼロにする。バックキャスト経営と称して工場建設から7年、ようやく訪れた特需に沸く。

 生分解性ポリマーは、本格的に開発を始めてから25年以上たっているが、価格の高さから「地球環境に優しい」といくら言っても振り向いてもらえなかった。当社単体として、業界全体として、地球環境問題の深刻さを訴える発信力が欠けていた面があり、まずは大いに自己反省が必要だろう。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1018文字 / 全文1493文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「賢人の警鐘」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。