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「〝のれん〞は信用である。やり方を変えることで、低価格は実現できる」

 消費増税が目前に迫っている。景気の不透明感が増す中、軽減税率など消費者が分かりにくい制度も導入されることもあり、消費には間違いなくマイナスの影響が出るだろう。

 小売業界は、そもそも消費税の導入に反対していた。1987年に当時の中曽根康弘内閣が「売上税」という名前で導入しようとした際には、業界で力を合わせて反対運動を展開し、いったんは廃案になった。

 その後も、消費税導入の動きはくすぶっていた。私は当時の自民党の竹下登幹事長と安倍晋太郎総務会長に直接お会いする機会を得た。そこでなぜ反対かを問われて、「小売業は商品を納入業者から仕入れる際に税負担があり、販売金額にも税金が乗る。納税義務者でもあり、徴収義務者でもあるのに事前に何の相談もない。それは反対しますよ」と伝えた。

 「では、どうすればいいのか」と聞かれて、「(当時の)政府の税制調査会には百貨店、スーパーそして商店街代表といった小売業者が1社も入っていない。消費者の声を一番多く聞いている我々の意見にちゃんと耳を傾けてほしい」と話した。こうして政府税調の委員に私が入ることになったが、その後は税調に小売業界の委員は入らなくなった。

 今回の消費増税の際にも、政府は小売業界の考えや意見に耳を傾けていない。消費者に一番近い小売業界をあまり見ていないように感じている。