「会議は数字で議論 課題や解決策が見える 競争力を見つめ直せ」

 少し前の話だが、6月17日にカプコンは定時株主総会を開催した。経営者にとって、総会は株主に1年の「通信簿」を披露する場だ。幸い、カプコンは2019年3月期に「モンスターハンター」や「バイオハザード」などのゲームがヒットを飛ばし、全利益項目で2期連続の過去最高を更新した。好業績という結果に納得してくれた株主も多かったのではないか。

 言うまでもないが、株主だけでなく経営者にとって数字はとても重要だ。ゲームという変化の激しい業界だからこそ、カプコンでは経営を進める上で数値管理を重視している。

 私が出席する会議で準備するのは、事業やゲームソフトごとのPL(損益計算書)など、数字だけが並んだシンプルな資料のみ。派手なプレゼンテーション資料は存在しない。新作ゲームソフトの開発会議ではコンセプトなどの説明はもちろん存在するが、ソフトの損益計画を添付させている。個人事業として経営する米カリフォルニア州のワイナリー、ケンゾーエステイトでも販売する店舗ごとにPLで議論を進めている。

 数値管理を徹底するのには理由がある。会議でPLの項目ごとに計画比や前年比、売上高比と多面的に分析することで、事業が抱える問題点が一目瞭然となり、どう対処すべきか見えてくるからだ。

 数字以外の資料を用意させないのには、もう一つ理由がある。各事業の責任者は、手掛ける事業のことをよく見せたいと思うもの。事業の進捗状況を数字だけでなく文字を使った資料で提出させると、どうしても自らに都合のいい説明をしてしまう。

 経営者に必要なのは、精緻な数値情報だ。苦戦する事業であればあるほど、責任者を叱責するのではなく、課題をあぶり出し挽回策を打つ必要がある。そのためには担当者の思いが込められた文字情報ではなく、正確な数字が必要になってくるのだ。