「『大黒柱に車をつけよ』 変化を恐れないことが成長の原動力になる」

 「大黒柱に車をつけよ」という家訓が岡田屋にはある。環境の変化に対応して、企業自体を変革させよ、という意味だ。

 岡田屋は、呉服店に始まり、戦後、食品を扱うスーパーマーケットになった。その後、GMS(総合スーパー)、専門店、SC(ショッピングセンター)、クレジットカードなど多様な分野に事業を広げて、今のイオングループに至る。グループの収益を支える事業の柱は、時代と共に大きく変わってきた。環境の変化がそれだけ大きいからだ。

 日本の小売業の売上高上位20社を、50年前と比較してみよう。当時は、百貨店が上位のほとんどを占めていたが、今は全く違う。イオン、セブン&アイ・ホールディングス、ファーストリテイリング、ヤマダ電機、アマゾンジャパンなどが並んでいる。

 「大黒柱に車をつけよ」という家訓を象徴する出来事が戦後すぐにあった。三重県四日市市の焼け野原で、店舗を再開した場所は、戦前は中心街で人通りが多かった。しかし戦後は、疎開先から戻ってきた人が下車する四日市駅と、手続きのために訪れる市役所を結ぶ通りが栄え、人の流れが変わった。

 そこで店舗の移転を決めた。「ご先祖様が大事にしてきた土地を手放すとは何事か」と強く反対されたが、人の流れの変化に対応できたことで、新店舗は繁盛。立地だけでなく、企業自体も変化させ続けないと永続しない。

 米国を視察して将来性を感じ、1969年に三菱商事と共同で、SCを運営するデベロッパー事業をスタートさせた。当時は住宅地図がなかったので、ヘリコプターに乗ったり、幹線道をクルマで走ったりして、候補地を探した。こうして産声を上げたSCは、今では、日本各地のみならず、東南アジアや中国など海外でも展開。グループの屋台骨になっている。