「国際展開の要諦は3つ。基本的なことだが、誤解も少なくない」

 長年海外の仕事を経験し、いろいろな企業の様子を拝見する機会もあり、私なりに、国際的に展開するビジネスにどんなことが必要かと考えてきた。その中で、業界を問わず普遍的だと思われる3つの要諦を紹介する。基本的なことではあるが、誤解も少なくない。

 1つ目は進出先の需要を確認することだ。自社の商品が売れるのか確認することは、ビジネスの基本であり大前提だが、海外となると疎かにする人がいる。また、外国をうっかり十把一絡げにしてしまうこともあるようだ。

 もしその時点で需要がなくても諦めてはいけない。次に確認すべきは、需要を創り出せるかどうかだ。長期的には、この場合の方がメリットは大きいかもしれない。その国で初めての商品になるので、成功すれば大きな利益が期待できるからだ。

 キッコーマンの醤油も1957年に米国に販売会社を作った時点では、米国内には需要がほとんどなかった。ただし、需要を創り出せるという確信があった。戦後、米国人のビジネスマンや官僚などが日本を訪れ、生活の中で料理に醤油を使っていたからだ。在日米国人の醤油への反応がよく、それを私の先輩たちが見ていたので、米国での潜在需要があるとの期待があった。そうやって各国で需要を確認しながら展開していき、現在では売上高の約6割、営業利益の約7割を海外が占める。

 2つ目は技術優位性を持つことだ。海外に出れば欧米の企業や現地の有力企業と競争することになる。そうした企業の多くは優れた技術力を持っている。すべての部分でなくとも、この分野では絶対に負けないという技術優位性を持っていなければ、現地での競争には勝てない。

 非製造業でも同様だ。デジタルの技術力で効率的な事業を実現するなど、サービス業などであっても技術優位性は欠かせないといえるだろう。