この記事は日経ビジネス電子版に『自動運転、ライドシェア……「最新マッチング理論」実装でもっと便利に』(2021年7月2日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』9月27日号に掲載するものです。

マッチング理論は経済学で最も研究が活発な分野で、ワクチン予約をはじめ社会制度のデザインに使われてきた。ビジネス分野でも、次世代モビリティーサービス「CASE」市場のマッチングルールで、大きな役割を果たしつつある。

栗野盛光[くりの・もりみつ]
慶応義塾大学経済学部教授
1973年生まれ。2009年米ピッツバーグ大学経済学部で博士号(Ph.D.)を取得。18年から現職。共著に『次世代モビリティの経済学』(日本経済新聞出版)。

 自動運転、ライドシェア、空飛ぶタクシーなど新しいモビリティー(移動手段)サービスが話題だ。100年に1度といわれるイノベーションがモビリティーの分野で広範囲に進行しているためで、CASEという言葉で特徴付けられる。CASEは、Connected(つながる)、Autonomous(自動走行)、Shared & Services(シェアリングとサービス)、Electric(電動化)の頭文字をつなげた造語だ。「つながる」は、モビリティーとインフラが、通信で走行データを利活用すること。「自動運転」はモビリティーが自動走行すること。「シェアリングとサービス」は、サービスの利用方法が、所有から共有(シェアリング)へと移行していくこと。最後の「電動化」は、動力源が化石燃料から電力へ移行することだ。本稿は経済理論を実践する分野、マーケットデザインの観点から、その一つであるマッチング理論がCASEにどう生かされ、世の中を変えていくか考える。

 経済学的にはモビリティーは、長期間繰り返し消費できる耐久性のある財で、所有者はいつでもモビリティーを利用し移動サービスを享受できる。所有者は利用しないときにモビリティーを貸し出せる。モビリティーは、定員までなら運転者や所有者以外も運べる。これらがシェアリングを可能にする。

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