企業にとって新しい市場の創造は極めて重要だが、不確実性を伴う取り組みでもある。新市場創造がどのような事象であるかを整理したうえで、望ましいアプローチを検討すべきだ。

吉田 満梨[よしだ・まり]
神戸大学大学院経営学研究科准教授
2003年立命館大学卒業、神戸大学大学院で博士課程修了、博士(商学)。首都大学東京(現東京都立大学)助教、立命館大学経営学部准教授を経て21年4月から現職。

 画期的な新製品が市場創造に成功すると、人々の生活様式を変えたイノベーションと称賛される。しかし、開発・市場導入のただ中で成功を見通すことは困難だ。例えば緑茶飲料は今日、市場規模が約4500億円ある。しかし、1985年に伊藤園が最初の缶入り緑茶飲料を発売したとき、急須でいれ「タダで飲める」感覚だったお茶に対し、「100円も出す人などいない」と酷評された。だが缶入り緑茶飲料という革新的な製品の導入に踏み切り、全く新しいニーズを生み出した。

<span class="fontBold">伊藤園は緑茶飲料で新しい市場を創出</span>
伊藤園は緑茶飲料で新しい市場を創出

 それまでにないタイプの製品が新市場の創造に成功するかどうかは、分析に基づく予測が不可能で、成功への処方箋となる理論はない。アカデミックな研究でも、各研究者が固有の分析対象と方法論で研究を進めているのが実態だ。それでも新市場創造がどのような事象か整理することで、具体的なアプローチを検討する助けにはなる。

「ニーズ」と「製品」の交差

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