この記事は日経ビジネス電子版に『進化する日本の「ナッジ」、自治体も「社会実装」』(4月23日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月31日号に掲載するものです。

「ナッジ」は、合理的になれない人間に、よりよい行動を促そうという行動経済学の考え方だ。横浜市など国内の自治体でも、環境や教育、税などの施策に生かすケースが出始めた。

小林庸平[こばやし・ようへい]
三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員
一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)。経済産業省経済産業政策局産業構造課課長補佐、経済産業研究所(RIETI)研究員などを経て現職。行動科学チームリーダー、及び経済産業研究所(RIETI)コンサルティングフェローを兼務。
(写真=PIXTA)

 ダイエット、資産形成、部屋の片づけなど、やりたいと思いながらなかなかできないことはないだろうか。行動経済学は、人間は、自ら考えた通りにはなかなか行動できないことを明らかにしてきた。そうした行動に関する「バイアス」を前提に、よりよい選択を促すのが「ナッジ(nudge)」だ。米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授と米ハーバード大学のキャス・サンスティーン教授が2008年に出版した共著で提唱した。ナッジは本来「肘でつつく」という意味だが、転じて、人間の性質に配慮しながらよりよい選択を促す意味で使われている。本稿では、国内外におけるナッジ社会実装の「いま」を紹介したい。

 ナッジの社会実装を進めるため、多くの国で通称「ナッジユニット」と呼ばれる組織が誕生した。その代表が英国の行動インサイトチーム(BIT)だ。10年の保守党・自由民主党連立政権発足を受け、セイラー教授の支援も得、内閣府の一部局として設立された。

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