コロナ禍が長期化する中、消費者の心理状態に変化が生じている。外出自粛に納得感が強いほど国産品を選ぶ「ニューノーマル」の消費者が見えてきた。

平峰 芳樹[ひらみね・よしき]
帝国データバンク総合研究所
1988年生まれ。筑波大学大学院システム情報工学研究科を修了後、帝国データバンクに入社。企業ビッグデータによる日本経済の分析を手がける。TDB-CAREE客員研究員。(写真=栗原 克己)

 コロナ禍という未曽有のピンチに対して、消費マインドはどう変化してきているだろうか。私が客員研究員を務める一橋大学経済学研究科内の帝国データバンク企業・経済高度実証研究センター(TDB-CAREE)は、2020年6月からコロナ禍の「消費者心理調査」を毎月実施している。「コロナ禍の感染リスクに対する不安」と「消費者の行動」との関係などを捉えることが狙いで、外部の調査会社を活用したインターネット経由のアンケート形式で、回答者数は毎回約3700人である。各月の月末に前月の状態について調査しており、手元にあるデータは20年10月分までだが、分析の手法を工夫することなどでいろいろなことが見えてくる。

外出自粛「納得度」で嗜好に差

 まずコロナ禍での収入・支出の動向を直近のデータで見ると、収入が「減少」とした人が3割、支出が「減少」が2割いる。危機に直面して収入が減り、財布のひもを締める姿が浮かぶ。この状況はいくぶん緩和傾向にはあるが、調査開始時から変わっていない。

 興味深いのは、コロナ禍で消費者が「どんな製品を買いたがっているか」に変化が生じていること。海外の先行研究では、消費者が「死の恐怖の顕在化」に直面したとき、自国製品を買う意識を持つ人が増えることが分かっている。「存在脅威管理論」と呼ばれ、社会心理学や経営学で近年、注目を集める。コロナ禍でこの傾向を検証すると、自国製品の購買意識が全体的に高まっているとまでは言えないが、一部でこの傾向が顕著だと判明した。具体的には「外出自粛への納得感」が強い人ほど「国産品を買う」意識が高まる傾向にある。

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