近年、大学だけが最先端技術の芽を生み出せる場所ではなくなり、分野によっては主導権が企業に移りつつある。大学側も、起業家養成機関となり、次々と起業するぐらいの気構えが必要だ。

山本 康正[やまもと・やすまさ]
米ハーバード大学客員研究員
米ハーバード大学理学修士。米グーグル日本支社などを経てDNX Venturesインダストリーパートナー。著書に『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』(講談社現代新書)。

 科学技術の最先端研究は大学教授が大学の予算を使って取り組むもの、という印象が読者の中にはあるかもしれない。だがそれは、ビジネスに関係する一部の分野では既に過去のものとなっている。すべての研究を大学だけに任せるのはもはや時代遅れだ。

開発プロセスの変化
●大学が開発、途中から民間資金で加速
(写真=PIXTA)

 2019年10月、米グーグルが量子超越性を達成したというニュースが全世界に衝撃を与えたことは記憶に新しい。これは量子コンピューター開発における金字塔であるが、大学ではなく民間が主導した開発例としても、金字塔である。

研究に3兆円投じるグーグル

 例えば米アルファベット(グーグルの親会社)の年間の研究予算は、直近四半期合計でも約3兆円に上るうえ、投じる金額は年々大幅に増加している。バイオサイエンスやコンピューターサイエンス、経済学におけるゲーム理論や行動経済学の研究などは、大学より民間が先行する可能性が高いだろう。

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