新型コロナウイルス禍をきっかけにアウトドアレジャー人気が高まる。主力の二輪車は好調、マリン事業では大型の船外機を投入してヒットに結びつけた。次世代車の技術開発も積極化し、変革の時代に備える。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=廣瀬 貴礼)
(写真=廣瀬 貴礼)
PROFILE

日髙祥博[ひだか・よしひろ]氏
1963年生まれ。愛知県出身。87年、名古屋大学法学部を卒業後、ヤマハ発動機に入社。二輪車事業部門の事業部長、企画・財務本部長などを経て2018年1月から現職。フランスや米国など海外での駐在経験が長く、国際派としても知られる。20年から日本自動車工業会の副会長として二輪車委員会委員長を務める。趣味はバイク。大学時代からヤマハ発動機のバイクを愛機としており、今も週末にはツーリングに出かける。

バイクの人気がここ数年高まっていると聞きます。特に排気量125cc以上のバイクが好調です。

 久しぶりのブームが訪れていると見ています。契機となったのは新型コロナ禍です。大勢の人が集まるイベントやコンサートはおろか、飲食店にすら気軽には行けなくなりましたね。じゃあどうやって週末の余暇を過ごすか。そこで注目されたのがアウトドアレジャーでした。バイクに乗って出かけてみようという機運が起きたのです。これは日本に限った話ではなく、米国や欧州といった先進国を中心に同じような動きが見られました。

 女性や若者のライダーも増えています。SNSの「インスタグラム」に載せる写真を撮るのに都合がいいということで、バイクを選ぶ方もいれば、ファッションの一部としてバイクを選ぶ方もいる。多様性の時代だなとつくづく感じます。

 中高年の方の関心も高まっていますよ。過去にバイクに乗っていた「リターンライダー」が多い。これも新型コロナ禍の影響が大きいでしょう。家に引きこもってばかりもいられないから、久しぶりに二輪に乗ってみようかと思っていただいたようです。

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