新型コロナウイルス禍を受けた巣ごもり需要で「ラストワンマイル」競争が進むコンビニ業界。競合2社が商品の宅配サービスを強化する中、ファミリーマートは独り別の路線を突き進む。リアル店舗の「メディア化」だ。目指すコンビニの未来像を聞いた。
(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

細見研介[ほそみ・けんすけ] 氏
1962年、大阪府生まれ。86年、神戸大学経営学部卒業後、伊藤忠商事に入社。主にアパレル・雑貨を中心としたブランドマーケティングに携わり、2019年から執行役員第8カンパニープレジデントとして生活消費分野に携わる。21年から現職。座右の銘は「Go where nobody has gone, Do what nobody has done(誰も行ったことのないところに行き、誰もやらなかったことをする)」。
2021年3月の社長就任から2年がたちます。振り返って自身を評価すると、何点ぐらいですか。
コンビニエンスストア業界2位といっても1位、2位、3位しかないでしょう。自分で点数はようつけんわ。でも売上高は上がっているので、運も含めて60点ぐらいかな。やるべきことは、なんぼでもあるからね。
22年はロシアのウクライナ侵攻など状況がめまぐるしく変わり、必ずインフレが起きると感じていました。そこで「価格戦略・販売計画グループ」をつくり、社員に価格の大事さを理解してもらった。「全社的に注意喚起する」という意味では、この判断はよかったんやないかな。
コンビニ店舗にデジタルサイネージ「ファミリーマートビジョン」の設置を進めています。どのようなメディア事業を目指しているのでしょうか。
今の段階で「ここを目指す」と断言するのは危険やないかと。時代は変化するからね。設置店舗はまだ約3000店(22年12月時点)。商品の連動や店舗づくりを進める中で、一つひとつの取り組みがうねりとなって、目指すゴールがおのずと見えてくるんやないかと考えています。
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