千代田化工建設は三菱商事と三菱UFJ銀行から4年前に財務支援を受け、再出発した。再生計画に取り組む榊田雅和社長は、採算性の改善や新技術普及に手応えを感じている。世界のエネルギートランジション(移行)に果たせる役割は大きい。
(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

榊田雅和[さかきだ・まさかず]氏
1981年東京大学工学部反応化学科卒、三菱商事入社。米国三菱商事を経て2012年4月機械グループCIO、13年4月執行役員就任、インド三菱商事社長兼アジア・大洋州統括補佐。17年4月三菱商事常務執行役員(6月に代表取締役兼務)。21年6月千代田化工建設代表取締役会長CEO(最高経営責任者)、22年4月から社長を兼務。
ウクライナ危機によりLNG(液化天然ガス)の争奪戦が起きました。プラント建設の引き合いも強まっていますか。
中東、欧州、アジア、米国など世界各地でLNG増産の検討が活発になり、当社にも様々な検討の依頼が来ているのは事実です。特に欧州はLNG輸入が喫緊の課題です。ただ、必ずしもすぐ投資の意思決定をするわけではありません。カタールのように次の案件の投資決定をしたケースもありますが、検討を続行という地域もあります。今すぐLNGを増産したいとのニーズがある一方、現実には5年ほどかかるからです。私たちが現在手掛けているカタールの案件も5~6年を要します。
仮にLNG相場が高水準のまま推移すると、各国の需要家がより脱炭素へとかじを切り、リニューアブル(再生可能)エネルギーへの転換を加速させる可能性があります。欧州は元来、その方針でした。ウクライナ危機によって「やはりLNGは重要」との認識になりましたが、価格水準が投資の可否に影響するでしょう。資機材や設備費、輸送費なども高騰し、プラントの初期コストも相当高くなっています。
欧州以外の地域はいかがですか。
アジアのマーケットは少なくとも今後10年程度、ガス需要が伸びるでしょう。石炭火力がガス火力になり、産業用途や都市ガスとしても必要です。当社ではLNG建設の事業が7~8割を占めていますが、こうした地域が有望です。一方、2050年の(温暖化ガス)ネットゼロ社会に向けた取り組みも各地で進むので、その対応もしっかりとやっていきます。
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