独インフィニオンは車載用半導体とパワー半導体で世界トップの位置にある。景気後退や地政学リスクなど、事業環境を巡る懸念は尽きない。それでもヨッヘン・ハネベックCEOは「長期の需要増加に応えるため投資を続ける」と前を向く。
(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

ヨッヘン・ハネベック[Jochen Hanebeck] 氏
1968年ドイツのドルトムント生まれ。アーヘン工科大学の電気工学科を卒業し、94年に独インフィニオンテクノロジーズ(当時はシーメンスの半導体部門)に入社。米国やドイツでDRAM開発エンジニアとして経験を積み、車載や産業機器の事業運営や制御用半導体マイコンの事業統括を歴任。2016年にCOO(最高執行責任者)に就き、製造や物流、品質、調達を統括した。22年4月にCEO(最高経営責任者)に就任した。任期は27年3月末まで。
自動車業界などで半導体不足による生産への影響が長引いています。インフィニオンは車載半導体の世界首位ですが、供給制約は解消されるのでしょうか。
新型コロナウイルスのまん延が突然、様々なものを変えました。特に半導体の需要は大きく増え、自動車業界が求める十分な量を供給できないという状況は確かにありました。
その中で日本勢をはじめ一部の自動車メーカーは早い段階で備えに動きました。半導体はジャスト・イン・タイムで届くような品物ではない、ということを理解していたからです。半導体(の供給制約)と自動車産業を切り離し、一定の在庫量を蓄積しようとしたのです。
しかし、しばらくするとどの自動車メーカーもやはり半導体不足に直面し、残念ながらその状況が現在も続いています。当社は過去2年、電力を無駄なく変換・制御するパワー半導体や、センサー類などの生産能力を大幅に増強しています。状況は良くなってくると思っています。

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