戦略コンサルティング会社のパイオニアとして、世界に90拠点以上のネットワークを持つボストン・コンサルティング・グループ(BCG)。ビジネスや社会のリーダーとともに戦略を練る「参謀」のトップは今、世界をどう見るのか。DXや脱炭素でビジネスリーダーが変革の旗手になるべきだと説く。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=的野 弘路)
(写真=的野 弘路)
PROFILE

クリストフ・シュバイツァー
ドイツ生まれ。1997年BCGミュンヘン・オフィス入社。2007~12年ニューヨーク・オフィス勤務。ヘルスケアグループのグローバルリーダー、プラクティスエリアグループ(専門委員会)全体のグローバルリーダーなどを歴任。14年エグゼクティブ・コミッティ(経営会議)メンバー就任。17年から中東欧・中東地区チェアマン。21年10月から現職。コブレンツWHU オットー・バイスハイム経営大学卒業、テキサス大学オースティン校経営学修士(MBA)。妻と3人の子どもとミュンヘンに住む。

世界に拠点を持つコンサルティング会社のトップとして、多くの企業と接点をお持ちです。今、世界の経営者は一番何に悩んでいるのでしょうか。

 2021年10月に最高経営責任者(CEO)に就任して以降、300人以上の企業トップと会ってきました。欧州の経営者の間では、やはりロシアのウクライナ侵攻をきっかけに発生した地政学的リスク、そしてエネルギーの供給不安への対処が最大の関心事です。

 ですが米国に行くと、戦争もエネルギー問題も、それほど大きなインパクトを持つ課題にはなっていません。ウクライナとは地理的に距離がありますし、原油をはじめとするエネルギーも、自国内で調達できる環境にありますので。

 代わりに大きな問題となっているのが、米国社会に横たわる深刻な分断、そして人手不足です。トラックの運転手のみならず、レストランのウエーター、果ては銀行員からコンサルタントに至るまで、全業種で人手不足が起こっています。

 そしてアジアに目を転ずれば、中国が新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ政策」を維持しようとしている。世界とは異なる手法でコロナに向き合おうとしている中国の経済が今後どうなるか、注視している経営者が多いですね。

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