電力需給の逼迫に加え、エネルギー安全保障や物価高騰など経済面で難問が山積する。反転攻勢のカギとなるのが、「GX(グリーントランスフォーメーション)」を通じた産業転換だ。担い手となる人材育成も含め、新たな「勝ち筋」を聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=吉成 大輔)
(写真=吉成 大輔)
PROFILE

萩生田 光一[はぎうだ・こういち] 氏
1963年東京都八王子市生まれ。87年明治大学商学部卒。91年から八王子市議を3期10年務めた後、東京都議を経て2003年に衆院議員に初当選した。文部科学政務官、内閣官房副長官、自民党幹事長代行を歴任し、19年から文科相。21年10月に発足した岸田文雄内閣で経済産業相に就いた。ラグビーの格言「One for all, All for one」が信条。(写真=吉成 大輔)

今夏は電力需給の逼迫が懸念されています。国民生活や産業への影響をどう抑えますか。

 休止電源の稼働や燃料の追加調達、再生可能エネルギーや原子力のような非化石電源の活用など最大限の供給対策を講じていきます。それでも東北と東京、中部の3エリアでは安定供給に必要な予備率が3.1%とギリギリです。冬はさらに厳しく、東京から九州までの7エリアで予備率が確保できず、特に東京はマイナスという非常に厳しい状況が続く見通しです(注:数値は6月中旬時点)。

 需要対策として、この夏は無理のない範囲で、できる限りの節電や省エネに協力をお願いしています。節電の数値目標は定めませんが、不要な照明をこまめに消すなど、熱中症予防にも留意しながら取り組んでほしいと思います。

ウクライナ危機をきっかけに、エネルギー安全保障の問題が改めてクローズアップされています。ロシアは天然ガスの供給を巡って各国に揺さぶりをかけていますが、日本もロシアの資源開発事業「サハリン1」「サハリン2」の権益を守る必要があります(注:インタビューはロシアのプーチン大統領が6月30日にサハリン2を事実上接収する大統領令に署名する前に実施した)。

 エネルギー資源の大半を輸入に頼っている日本としては、安定供給に万全を期しつつ、G7(主要7カ国)と連携してエネルギーのロシア依存度の低減に取り組んでいきます。

次ページ ガソリン高騰、補助金で抑制