既存店売上高は26四半期連続増、2021年12月期は上場来最高の全店売上高を記録した。好調の要因は新型コロナウイルス禍の前から進めたDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。「外食の勝ち組」が見据えるファストフードの未来とは。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=的野 弘路)
(写真=的野 弘路)
PROFILE

日色 保[ひいろ・たもつ] 氏
1965年、愛知県出身。88年静岡大学人文学部卒業、同年ジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル(現J&J)入社。2005年にJ&Jグループ会社社長などを経て12年にJ&J日本法人社長。18年日本マクドナルド入社、19年同社社長。21年3月から現職。J&J時代には米国での研修を通じ、マネジャーの育て方や欧米式の組織マネジメントを徹底的に学んだ。(写真=的野 弘路)

3月にハンバーガーなど全商品の2割を値上げしました。客足への影響はありましたか。

 今のところネガティブな影響はそれほどありません。今回値上げした商品はハンバーガーやチーズバーガーといった値ごろ感の高い商品群です。あらゆる物が値上がりし始めている世の中なので、現状を見る限りはお客様にもご理解をいただけているのではないかと感じています。

ウクライナ危機などを受けてあらゆるコストが上昇しています。「もう一段の値上げ」もあり得るのでしょうか。

 頻繁な値上げは考えていませんが原材料価格、為替、エネルギー価格、物流費など色々なコストが三重苦、四重苦に積み重なっています。当社も2021年末、22年初頭とマックフライポテトの販売休止で多大なご迷惑をおかけしました。今後どうなるかは予断を許さない状況です。

円安の負の影響が甚大です。このままでは1970年代の狂乱物価のような事態になりかねないのでは。

 そこまで深刻ではないと思います。ただ、過去2年の社会情勢を見ていると、「これからの社会はこうなる」と様々な人が立てた予測の多くが外れていますね。

ウクライナ危機もここまでの深刻化を予想した人は少なかったですね。

 そうですね。私は現状を「ノーノーマル(無規範)」と称しています。「ニューノーマル」は新常態という意味ですが、今や何が常態なのか分からなくなった。これからの時代は何かをノーマライズすることが難しくなっていくのではないでしょうか。

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