ミャンマーでのビール事業撤退の表明に中国飲料との合弁解消と海外事業で波乱が続いた。新たな成長ドライバーに据えたのは「ヘルスサイエンス事業」と「クラフトビール」。30年先のキリンを見据え、事業ポートフォリオ転換を急ぐ。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

PROFILE

磯崎功典[いそざき・よしのり] 氏
1953年神奈川県小田原市生まれ。77年慶応義塾大学経済学部卒。同年、キリンビールに入社。99年、ホテル・ホップインアミング総支配人、2004年フィリピンのサン・ミゲル副社長。10年キリンホールディングス常務取締役、12年キリンビール社長などを経て15年から現職。1980年代後半には米国に留学してホテル経営を学び、現地ホテルで武者修行をした経験もある。好きな言葉は「率先垂範」。(写真=北山 宏一)

ウクライナ危機によって穀物の供給に懸念が広がっています。

 ロシア、ウクライナは小麦の主要生産国で、ビールの主原材料となる大麦とは別物です。ただ、穀物には変わりないですから巡り巡って影響は出てくるでしょうね。両国から購入はなくても相場が上がってしまう。

 新たに契約交渉に入る物資については今まで通りの価格というわけにはいかないでしょう。非常にタフな状況になると見ています。物資だけではなく、航空輸送でロシアの上空を飛べなくなるとか海上輸送の問題とか、色々とありますね。

コストというと、家庭用ビールについては各社とも2008年から値上げをしていません。値上げを考える時期に来ているのでしょうか。(注:インタビューはアサヒグループホールディングス(GHD)、キリンホールディングスなどが酒類の値上げを発表する前に実施)

 それは当然ですね。ぎりぎりのところでやっていますから。企業が取り組めるコスト削減は一生懸命やりますが、それは必ずどこかにしわ寄せが来ます。本来やるべき設備や人材への投資に影響が及ぶでしょう。値上げについては常に考えています。

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