ロシア極東の資源開発事業「サハリン2」からLNG(液化天然ガス)を調達している。世界を覆うエネルギー不安に直面する一方で、投資家からはCO2排出量削減も求められる。ガス・電気の安定供給と脱炭素化をどう両立させるのか聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=的野 弘路)
(写真=的野 弘路)
PROFILE

内田高史[うちだ・たかし] 氏
1956年千葉県生まれ。79年東京大学経済学部卒業後、東京ガス入社。導管部門のほか、人事や企画畑を歩む。常務執行役員、副社長などを経て2018年から現職。好きな歴史上の人物は、1855年の日露和親条約で江戸幕府(日本)側の代表として交渉に当たった幕末の勘定奉行、川路聖謨。

ウクライナ情勢が混迷を極めています。欧米を中心にロシアへの経済制裁の動きが強まり、日本も同調しました。東京ガスはロシア極東の資源開発事業「サハリン2」からLNG(液化天然ガス)を調達しています。危機感は相当強いのでは。

 えらいことになってしまった、というのが正直な感想です。まさか本当に、ロシアがウクライナに侵攻するとは想像できませんでした。欧州は4割以上の天然ガスをロシアに依存しており、日本も10%ぐらいを調達しています。

 経営者としては、ロシアへの制裁目的でサハリン2からLNG調達をやめるなんて簡単には言えません。LNGの長期契約には一般的に「テーク・オア・ペイ条項」が盛り込まれているからです。長期契約したからには、LNGを一定量引き取る義務があります。買い手の都合で引き取らない場合は、その分を金銭で支払うことが求められます。もしサハリン2からの調達を一方的にやめてしまったら、日本のエネルギー会社はバタバタと倒れるでしょうね。

英シェルは2月、サハリン2から撤退すると発表しました。

 確かに発表しましたが、具体的な期限や方法は示していません。今もシェルの要員はサハリン2に残っています。シェルの持ち株を誰が買うかも問題です。将来は中国が出資するのかもしれませんが、すぐに買い手は見つからないと思います。

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