初の民間出身社長として不正融資問題に揺れる商工組合中央金庫の再建にまい進してきた。風土を変えなければ不祥事を繰り返すと、風通しの良い組織づくりを何よりも重視する。危機対応融資以外の新たな存在価値の構築に腐心する。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=竹井 俊晴)
(写真=竹井 俊晴)
PROFILE

関根正裕[せきね・まさひろ]氏
1981年早稲田大学政治経済学部卒、第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。総会屋への利益供与事件後の行内改革に携わる。2007年、西武再建を託された後藤高志・みずほコーポレート銀行副頭取(当時)に従い、西武ホールディングス(HD)へ。プリンスホテルの経営立て直しなどに関わった。10年プリンスホテル取締役常務執行役員。18年から現職。岸田文雄首相とは開成高校の同級生。硬式野球部で、二遊間のコンビを組んだ。

不正融資問題に揺れる商工組合中央金庫のトップに就いたのが2018年。この間、ガバナンス改革や業務・経営の合理化などを進め、しっかり期待に応えています。成果を上げられた秘訣は何だったのでしょう。

 西武ホールディングスから商工中金に行くことが決まると、いろんな人から「腹心を連れていった方がいい」とアドバイスされました。でも、グループで約3万人いる西武とは違って4000人くらいの規模だから、まずは自分の目で色々見たり、職員と話をしたりしてから考えようと。

結局、誰も連れていかなかった。

 はい。本当に全部1人でやったのですが、こちらに来てすぐに「全然問題ないな」と思いました。だって、一人ひとりの職員の能力はすごく高いし、ポテンシャルがある。不祥事はここで働く人が悪いのではなく、組織的な課題のせいだと確信しました。

 一連の不祥事に対する公式的な見解については、会社もペーパーなどを出しています。書かれていることはすべて正しいし、まったくその通りなのですが、自分なりに問題を分析してみると、当時の商工中金は2つの大きな課題を抱えていると感じました。

 一つは組織の仕組みやマネジメントのあり方。もう一つは業績至上主義。これらをまず改めることが改革につながると思いました。

具体的に何を手掛けたのでしょう。

 いくらコンプライアンス関連のルールを整備しても、企業風土が変わらなければ本当に変われない。このことは、自分が企業の再生に関わってきたこれまでの経験からも強く感じていました。

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