社員の意識改革が実を結び、右肩上がりで来場者数が増えていた「サンリオピューロランド」。コロナ禍で大きな打撃を受ける中、もうコロナ前には戻らないとの覚悟の下で動き出した。変革を果たした女性リーダーは「傾聴力」を武器に再成長を誓う。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=伊藤 菜々子)
(写真=伊藤 菜々子)
PROFILE

小巻亜矢[こまき・あや]氏
1959年生まれ。83年にサンリオ入社。結婚を機に退職。化粧品の販売員などを経て2002年にサンリオ関連会社に復帰。13年に東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。14年サンリオエンターテイメント顧問、16年サンリオピューロランド館長。19年6月から現職。子宮頸がん予防啓発活動「Hellosmile(ハロースマイル)」委員長、SDGsプラットフォーム代表理事、松竹の社外取締役などを務める。

新型コロナウイルスの影響でエンターテインメント業界は大きな打撃を受けています。

 テーマパークのビジネスですから、人が移動できないという問題が直撃しました。それまでは業績が右肩上がりになってきて、このまま健全な経営状態をキープできるような組織やコンテンツづくりのサイクルを形成しつつあったんです。それが一度ガラガラと崩れてしまった。利益面でも大打撃でしたし、組織の戦略も考え直さざるを得なくなりました。

 ただ自分たちの強みを見直すきっかけにもなりました。最近「メタバース」という言葉が一気に広がりましたが、私たちもコロナ前から未来的な戦略としてスタートしていました。それを、この2年間で一気にスピードアップして実施にこぎ着けられた。キャラクターたちのパワーが一番の強みですから、お客さまが来場できなくてもキャラクターとの接点を途切れさせないことが不可欠でした。