非創業家出身者として初めて、2020年6月に社長に就任した。中国勢などライバルに対して、ボリュームゾーンを含めて勝つ考えだ。顧客の変化に応じ、部品単品売りからの脱却にも動く。
(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

中島規巨[なかじま・のりお]氏
1961年大阪府枚方市生まれ。85年同志社大学工学部卒業後、村田製作所入社。2006年モジュール事業本部通信モジュール商品事業部事業部長、13年取締役常務執行役員を経て、17年から代表取締役専務執行役員。20年6月から現職。趣味はゴルフ、トレッキング、野菜作り。
新型コロナウイルスの感染拡大から2年がたちました。2022年は世界経済がどう動くと見ていますか。
エレクトロニクス業界では現在、コロナ禍と米中のデカップリング(分断)の両面から、半導体のサプライチェーン(供給網)が非常に不安定になっています。やや回復基調ですが、解消は構造的に難しい。22年も影響は続くでしょう。
車載半導体の製造に使うのは、数世代前に主流だった回路線幅が22ナノ(ナノは10億分の1)メートル以上の技術です。台湾積体電路製造(TSMC)や聯華電子(UMC)などファウンドリー(受託生産会社)大手が投資している技術ではなく、需要が急増しても供給量は増えません。
半導体サプライチェーンの混乱は、村田製作所の受注状況にどんな影響を及ぼしていますか。
明暗2つの面がありますね。
自動車業界はこれまで在庫を極力持ちませんでしたが、それでは高まるリスクに対応できないため(半導体以外の部品も)在庫水準を引き上げました。その結果、我々の21年度上期業績は好調に推移しました。下期以降は受注が弱くなりますが、これが良い影響です。
一方で、我々も車載向けの無線LANモジュールや電池管理向けの半導体の調達に苦しむようになりました。これが悪い影響です。僕自身の肌感覚では結構深刻です。
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