コロナ禍で一時は休業を求められ、業績を支えてきたインバウンド需要が消滅した百貨店。実店舗に行かずともほとんどの商品を買えるEC(電子商取引)の拡大という逆風もある。かつて憧れの存在だった百貨店はどう生き残るのか。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=吉成 大輔)
(写真=吉成 大輔)
PROFILE

細谷敏幸[ほそや・としゆき]氏
三越伊勢丹ホールディングス社長CEO
1964年生まれ。87年に早稲田大学を卒業し、伊勢丹(現三越伊勢丹)に入社。30代で赴任したマレーシアではビジネスモデルを見直し、業績を大きく改善させた。2015年から三越伊勢丹執行役員となり、婦人雑貨統括部長や特選・宝飾時計統括部長を歴任する。17年に三越伊勢丹ホールディングス執行役員に就任。18年4月から岩田屋三越の社長を務め、短期間での業績回復を果たした。21年4月から現職。三越伊勢丹の社長も兼任する。

コロナ禍が続く2021年4月に社長に就任されました。コロナとの闘いをどのように捉えていますか。

 就任してから9月までの上期はほとんどが緊急事態宣言下でした。お客様や従業員、取引先をどうやって守るのか、そのとき当社の利益はどうなるのか。一方だけを見るのではなく、ステークホルダーの皆さんのために会社としてどうしていくべきかを考えるのが経営だと改めて考えさせられました。

 売り上げで言えば、特に5月と8月は本当に厳しい状態でした。9月末に緊急事態宣言が解除されてからは、日本人向けの売り上げは元に戻ってきた印象です。

 22年3月期下期の予想を立てた時点では、日本人向けの店頭売上高は11月に18年比で9割程度まで行けばいいと思っていました。それが10月に約9割まで戻り、11月は18年並みになりました。回復が相当早かった。12月は、首都圏の日本人顧客に限れば18年の水準を上回りました。

オミクロン株が世界的に流行し、国内の感染者が急増しています。

 現時点では、売り上げや客足への影響を正確に予測するのは難しいですね。いずれにせよ、この2年間の経験で学んだあらゆる感染拡大予防策を徹底しながら事業を運営していくしかないと考えています。