グループのマーケティング責任者として、独特のマーケティング戦略を主導してきた。必須栄養素が入った「完全栄養食」で、食品の役割を「未病」対策まで昇華させようと挑む。創業者の孫が見る、即席麺を越えた先の景色とは。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=北山 宏一)
(写真=北山 宏一)
PROFILE

安藤徳隆[あんどう・のりたか]氏
1977年生まれ。創業者である安藤百福氏の孫で、2002年に慶応義塾大学大学院修了。祖父のかばん持ちを3年間務めた。07年に日清食品に入社し、08年の日清食品ホールディングス(HD)設立に伴い同社取締役・CMO(最高マーケティング責任者)に就任。15年から日清食品社長。16年から日清食品HD副社長にも就任した。東京・新宿にある本社ビルの食堂の一角には安藤百福氏が自宅で使っていた椅子やテーブルが何気なく置かれている。

日経ビジネスが2021年10月18日号で実施した国内主要企業のマーケティング責任者への調査で、日清食品ホールディングス(HD)が「マーケティングを見習いたい企業」の国内1位になりました。日清食品のマーケティングの強さとは何でしょうか。

 一言で言うのは難しいのですが、とにかく怖がらずにユニークにいくことだと思います。

 ここ10年ぐらい、我々のマーケティングはどんどん過激になっています。若い人たちにとってカップヌードルは当たり前の存在で、「絶対に自分の人生に必要なブランドだ」と思ってもらえていないと気付いたのがきっかけでした。よく食べるはずの若年層が40代や50代よりもカップヌードルを食べていないのです。

 次世代のロイヤルユーザーである若年層をしっかり取り込むためには、コミュニケーションを変えなくてはならない。「日清、面白いよね」と若い人たちに共感してもらえるような、攻めたブランドイメージに刷新していこうと考えたのです。

話題になるテレビCMも多いです。

 我々は代理店さんに丸投げは一切しません。普通は代理店さんから提案してもらって幾つかの案から選んでいくことが多いと思います。我々は基本的に自分たちで考えて、それを代理店さんに制作発注する形にしています。いうなれば私が全部考えてしまっているので。

どのあたりまでご自身で考えているのですか。

 ほぼ全部です。絵コンテまで描くときもありますね。なかなか日清食品にしかできないやり方ですが、ここが他社に驚かれている要因の一つなんだと思います。

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