ピラミッド構造だった部品の発注企業と町工場を水平につなぐプラットフォームを手掛ける。創業からわずか4年。国内外の投資家から80億円を調達し、その成長に期待が高まっている。注目の若手経営者は日本のモノづくりにどんな未来を見ているのか。
(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

加藤勇志郎[かとう・ゆうしろう]氏
1991年生まれ。2014年東京大学経済学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。国内外の製造業を支援するプロジェクトで、重工業や大型輸送機器、建設機械をはじめ製造大手の購買・調達改革をサポートする。17年11月にキャディ設立。過去にバンドでボーカルやギターを務め、プロを目指したことも。大学時代は体育会アイスホッケー部。学生時代に米アップルのエンジニア、小橋昭文氏(現キャディCTO)と出会う。
モノづくりの受発注プラットフォーム事業というのは、どのような仕組みですか。
板金や切削、製缶などで強みを持つ町工場やパートナー工場と、産業機械やプラントなどの発注側企業とをつなぎます。ポイントは品質、価格、納期の責任を全てキャディが持っているところにあります。
価格は、キャディ独自のコスト算出の仕組みをベースにして決めます。受発注の仲介をする企業は普通、複数の町工場に見積もりを出してもらい、安いところに依頼すると思いますが、そのやり方はとりません。
品質に関しては、当社が一つひとつの町工場の強みをちゃんと把握しているので、発注者の要望に応えられる。それに当社も東西に検査の拠点を持ち、そこで確認をして納品します。
新型コロナウイルス禍に伴い、サプライチェーンがあちこちで寸断されました。御社の強みはどのように発揮されたんでしょうか。
モノが足りないという状況が医療系だったり半導体系だったりにありますよね。半導体はコロナ禍に関係なくひたすら伸びている状況ですので、その中でモノがないのは一番困る。サプライチェーンが分断されて困っているところもあれば、単純に仕事が増えた分、困っている企業もある。
今まで30年付き合っている町工場があったとしても、来年までに2倍生産してほしいと突然頼んでできるわけがない。半導体関連の仕事が増えた分は全てキャディに依頼する企業が出てくるなど、当社のネットワークで解決しようとするケースは最近多くなっています。
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