2009年に撤退した日本の乗用車市場への再参入に向け準備を急ぐ。電動化の波は自動車産業に訪れた100年ぶりの「チャンス」だと言い切る。環境変化の中で成長できる組織を目指す。
(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

張 在勲[チャン・ジェフン]氏
1964年、韓国生まれ(57歳)。米ボストン大学経営学大学院で経営学修士号(MBA)取得。91年、日産自動車系列だったカルソニック(現・マレリ)入社。サムスン自動車(現・ルノーサムスン自動車)やサムスン電子などを経て、2011年に物流会社、現代(ヒョンデ)グロービスのグローバル事業室長。12年に現代自動車入りし、マーケティング、営業などを担当した後、20年12月から現職。「どんな新しい趣味を持つか、ずっと悩むのが趣味」と話す。
世界の自動車産業は100年に1度とされる変革期を迎えています。
現代(ヒョンデ)自動車にとっても大転換期であることは間違いありません。2025年に向けた中期戦略では、3つの柱を掲げています。一つは内燃機関搭載車の収益を最大化すること。それと並行して、電動車へのシフトを加速。さらに、燃料電池車(FCV)をはじめとして、グループ全体で水素経済の拡大に取り組みます。
足元は大変厳しいです。コロナ禍に加え、半導体の需給問題など様々な懸案を抱えています。ただ、そうした中でも世界シェアは5.3%まで拡大し、韓国市場では過去最高の実績を出しています。事業や組織の変革を進め、収益性のある成長を実現することが私の最大の目標です。
22年にFCVと電気自動車(EV)で日本市場に再参入すると、昨年報じられました。準備はいかがですか。
慎重に最終検討を進めています。日本は先進マーケットであり、最も厳しい市場でもあります。01年に初進出したのですが、09年に乗用車は撤退しました。その間販売したのは約1万5000台。今も700台ほどが使用されているので、お客様を訪問して整備などのケアを続けてきました。
失敗した原因は、日本の顧客ニーズや市場の分析が十分にできていなかった点にあるので、顧客の視点に立って、ニーズを満たす形で進出するための準備を慎重に進めています。
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