トヨタ自動車でハイブリッド車の開発をけん引した実績を引っ提げて社長に就任した。商用車の変革を求められている今こそ、難局を乗り越えてきた自身の経験が生きるとみる。各国が脱炭素にかじを切る中、商用車ビジネスの生き残り策とは。
(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

小木曽 聡[おぎそ・さとし]氏
1961年生まれ。83年東京工業大学工学部卒業、トヨタ自動車入社。プリウスやアクアなどのチーフエンジニアを務め、小型車・電動車の開発に携わる。2015年にアイシングループのアドヴィックスへ出向し、同社代表取締役社長。18年にトヨタ自動車専務役員CVカンパニープレジデントに就任、21年6月から現職。趣味はマラソンで、1カ月に200〜300kmを走破する。東京都出身。
6月に社長に就任されました。ハイブリッド車(HV)の開発などに携わったトヨタ自動車での経験を、日野自動車でどう生かしますか。
トヨタでは「プリウス」や「アクア」の開発などで電動化の経験をしてきましたが、そのときに様々な人や顧客と向き合ってきたことが、今のような変革期に役立つのではないかと思っています。当時はHVの黎明(れいめい)期でしたから、企画や開発をやりながら、顧客と向き合ったり、仕入れ先を含めた生産のところで苦労したりといった経験をしました。
2018年からはトヨタのCV(コマーシャルビークル)カンパニーで「ハイエース」などの商用車も担当していました。当時の日野の下義生社長(現・会長)とは、「商用車のところはダイハツ工業も含めてトヨタグループで一緒になって色々な活動をしていった方がいいんじゃないか」という話をしていました。
ただ、日野に来てみると、やはり知らないことがたくさんある。社長とはいいながらも、なるべく現場に出て行って、現場の近くで顧客のためにもっと汗をかいていきたいですね。トヨタの様々なところを渡り歩いてきたので、グループのチームワークを高める部分でも貢献したい。日野が世の中のお役に立てるように(グループ内の)色々なところをつなげられたらと思っています。
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