空調のグローバル大手として、各国で地歩を築いてきたダイキン工業。脱炭素やサプライチェーン再構築など、のしかかるテーマは重い。就任11年目の十河社長にこれらの課題とどう向き合うのか聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=菅野 勝男)
(写真=菅野 勝男)
PROFILE

十河政則[とがわ・まさのり]氏
ダイキン工業社長兼CEO
1949年生まれ。73年小樽商科大学商学部卒、ダイキン工業入社。人事畑を主に歩む。常務、専務を経て、2011年社長兼COO、14年社長兼CEO(現職)。大事にしているのは、井上礼之会長から引き継いだ言葉「『一流の戦略と二流の実行力』より『一流の実行力と二流の戦略』」。健康法は、近所の大阪・箕面の滝周辺を散策すること。北海道出身。

世界的に脱炭素の流れが加速しています。空調メーカーである御社にとってはプラスですか、マイナスですか。

 当社にはプラスです。脱炭素やESG(環境、社会、企業統治)投資、サプライチェーンなどの問題が「六重苦」になるといわれますが、私はこれを苦とは思いません。経営における重要事項として、どうとらえて展開していくかが非常に大切だと考えています。苦を解決すればチャンスになる。これまでも課題に挑戦して成長してきました。変化はチャンスなのです。

米国がバイデン政権に代わって、実際に環境意識の高まりを感じますか。

 米国は州によりますね。カリフォルニアなど環境に熱心な州は、国が何と言おうと自分たちでどんどんやる。トランプ政権のときから、環境政策に先進的な州はいくつかあった。当社はまずそういった州から攻めてきましたが、バイデン政権になったことで環境政策が全州に広がるとみています。

 当社が、空調内のモーターの回転速度を制御して消費電力を抑えるインバータや、熱をつくるのではなく外気中の熱を集めて部屋に入れるヒートポンプの技術を持っていることは強みになる。例えば米国市場では、自社でインバータ技術を持つ競合企業は少ない。そういうものを展開することによって、我々の得意な部分を生かせる市場に変えていけます。

やると言った以上、必ずやる

2030年に温室効果ガスの実質排出量を50%以上削減し、50年にはゼロにする計画を掲げています。実現は相当難しいのではないでしょうか。

 ダイキンの製品からの排出量だけでなく、我々が開発した(温暖化への影響度を従来の3分の1に抑えられる)冷媒を使用した他社への貢献度も含めて計算しています。「R32」という冷媒の特許を他社に無償開放し、技術支援をしています。計画は挑戦的ではありますが、不可能ではありません。

 第1段階では、25年までに30%削減します。世の中の変化が激しいので、5年先のありたい姿を決めて3年先の定量目標を定めます。約束事項であり、やると言った以上、必ずやりますよ。

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