醸造家8家が集まって誕生した企業は100年余りにわたる同族経営を続けてきた。国内外でしょうゆのトップブランドとしての地位を築き、8期連続の最高益も記録した。伝統と成長性を併せ持つ老舗企業のDNAとは何か。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=北山 宏一)
(写真=北山 宏一)
PROFILE

堀切 功章[ほりきり・のりあき]氏
1951年生まれ。千葉県出身。74年慶応義塾大経済卒、キッコーマン醤油(現キッコーマン)入社。95年にはプロダクト・マネジャーとしてつゆや焼き肉のたれの商品開発に携わる。キッコーマン専務執行役員などを経て、2013年に同社社長CEO。21年6月から現職。子供時代にスキーを始め、大学では本格的に競技スキーにいそしむ。会社でもスキー部に所属するが社長就任以降は控えており、部員からプレゼントされたストックも未使用。現在はジムで汗を流す。

コロナ禍で不透明な情勢が続く中、2021年3月期は8期連続となる最高益更新でした。

 昨年からのパンデミック(世界的大流行)の下、海外の業務用の販売が厳しい状況でした。ロックダウン(都市封鎖)で強制的に営業を停止させられる飲食店もあって、特に昨年の3~4月はこれからどうなってしまうのだろうと思っていました。

 その分、巣ごもり需要が非常に盛り上がりました。海外でキッコーマンのしょうゆ、あるいはしょうゆをベースにした調味料の販売が我々の想定以上に好調だったのです。海外の大手スーパーマーケットでは品切れ状態のところも一時出たほど。長年培ってきたブランドが家庭に浸透した結果だと考えています。

 足元では米国などで業務用の販売が復活してきましたが、家庭用もそれほど落ちていません。我々が考えている以上に家庭への浸透が進んでいたのは非常にうれしい誤算でした。

今年6月に社長CEO(最高経営責任者)から会長CEOになり、社長COO(最高執行責任者)に中野祥三郎専務執行役員(当時)が就きました。

 言ってみれば今まで私はCEO兼COOだったわけです。今後は、私が責任を取りつつも、中野社長に業務執行の責任者になってもらう。私は主に中長期の戦略と日々の意思決定を担います。コロナ禍も含めて非常に環境変化が激しい中で、いろんな経営課題にいかに早く対応していくか。そのための経営体制の強化というのが新体制の意図するところです。

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