約90年の歴史を持つ事業会社を中核とする国内化学最大手で初の外国人社長となった。ここ10年以上掲げてきた「脱石油化学」は道半ばで、複合企業ならではの悩みも続く。期待される大胆な構造改革を進めて成長路線に戻せるか。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=竹井 俊晴)
(写真=竹井 俊晴)
PROFILE

ジョンマーク・ギルソン[Jean-Marc Gilson]氏
1963年生まれ。ベルギー出身。89年米ダウコーニング入社。化学会社や投資ファンドなどを経て、2014年に食品や医療関連素材を扱う仏ロケットCEO。21年4月から現職。05~09年、東レとダウコーニングの合弁会社時代には日本に駐在。妻は日本人。子どもから学生時代にかけてはプロ選手を目指してサッカーに熱中。飛行機のパイロット資格も持つ。趣味はゴルフやサイクリング、散歩して知らない場所を見つけること。

小林喜光前会長(6月に会長を退任)から事業ポートフォリオ転換の手腕を期待されて社長に就任しました。どのような会社を目指そうとしていますか。

 事業会社の三菱ケミカルなどを含む我々のグループは、長い歴史を持つ、日本で最大の化学グループです。ところが、最近10年ほどは財務状況があまり良くありませんでした。

 将来を考えると、課題という意味でも機会という意味でも一番大きいのは「低炭素社会」です。これにどのように対応し、会社を成長させて利益を稼いでいくか。社員には「この会社を変革して低炭素社会における勝者の一人になろう」と話をしています。

 勝者になれるのはわずかでしょうし、うまく対応できなければ衰退か消失へと向かうはずです。我々が化学会社であることは将来も変わりません。新たな現実に順応しながら、世界の化学会社のリーディングカンパニーであり続けようとしています。

売上高が3兆円強の大企業なのに今の時価総額は1兆4000億円ほど。「コングロマリットディスカウント」が指摘されています。

 社長として選ばれるプロセスの間、当社について自分なりに調べてみました。どこにフォーカスしているのか、どのように意思決定しているのか、資金をどのように割り振っているのか、なぜ配当額が低いのか──。持ち株会社なので非常に複雑で、戦略を理解するのが難しいと感じました。投資家は賢い人たちです。当社の複雑さが彼らによるディスカウントにつながるのはもっともなことです。

 ではこの状況をどのように改善していくか。今年12月には、もっとシンプルで明確な、分かりやすい戦略を公表します。組織も、今よりもシンプルでクリアなものに変えていきます。

続きを読む 2/3 「持ち株」は状況を複雑にする

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