新規参入が話題となった電気自動車(EV)の開発は、採算面への懸念から中止した。その開発で培った技術を他の製品に展開することをもくろむ。「成熟」の家電市場でイノベーションを生み出す仕組みとは。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

PROFILE

ローランド・ クルーガー[Roland Krueger]氏
1965年生まれ。ドイツ出身。BMWジャパンの代表取締役社長を経て、BMWのシニア・バイス・プレジデントに就任。その後、日産自動車の執行役員兼インフィニティ・モーター・カンパニー会長。2019年4月にダイソンに入社し、同年10月にCOO(最高執行責任者)。20年3月から現職。余暇はウルトラスポーツを楽しむ。ドイツ人で初めて、スキーによる無支援単独南極点到達を達成した。

2020年にCEO(最高経営責任者)に就任しました。創業者でチーフ・エンジニアのジェームズ・ダイソン氏とはどのように役割を分担しているのでしょうか。

 役割分担は明確です。私はCEOとしてシンガポール発で世界83カ国の事業を先導し、創業者はチーフエンジニアとして新しいアイデア、新しいテクノロジーを導く役割を続けています。サイクロン式掃除機などの製品は、ダイソン氏自身の創造性から生まれてきました。だからこそ、ダイソンがここまでユニークな存在になっていると思っています。

ローランドさんは独BMWや日産自動車を経て19年春に電気自動車(EV)開発のためにダイソンに入社しましたが、その半年後にはEV開発の断念を発表しました。どのような経緯があったのでしょうか。

 EV開発というアイデアはダイソンの創造力の中から生まれ、私が入社したときにも本当に面白いアイデアがありました。開発を次の段階に引き上げ、ビジネスとして成り立つかどうかを財務的に検討していく中で、プロジェクトを中止するという判断に至りました。企業が新しい製品を作ろうとする中では、当然あり得る判断ですよね。

 今回はEV開発を中止しましたが、特許を取った技術の中にはダイソンしかできない優れたものがあり、違うところに展開するというシナリオもありました。

続きを読む 2/4 EV開発の成果を横展開

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3427文字 / 全文4610文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「インタビュー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。