2022年4月の市場区分再編を機に、一層の企業価値向上やガバナンスの徹底を求める。資本市場の意義が問われる中、企業価値の持続的向上に資する取引所のルール作りを急ぐ。脱・株主至上主義の動きには「リスクを取るのは株主」と反論する。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=陶山 勉)
PROFILE

清田 瞭[きよた・あきら]氏
1969年早稲田大学政治経済学部卒。同年4月大和証券(現・大和証券グループ本社)入社。74年、米ワシントン大学経営学修士(MBA)を取得。その後、債券部で日本の債券市場に携わり、87年の国債相場の急騰と暴落など市場を揺るがす場面に幾度となく遭遇した。96年取締役債券・資金本部長、97年代表取締役副社長、2004年大和証券グループ本社取締役副会長、08年取締役会長、13年6月東京証券取引所社長、15年6月から現職。

現在の東証1部をはじめとする4つの市場区分の再編が来年4月に迫っています。改めて狙いをお聞かせください。

 市場区分の見直しは、2013年に東京証券取引所と大阪証券取引所が統合した時から抱えていた検討課題でした。それぞれの取引所の1部同士が一緒になることで、最上位市場の企業数が非常に増えてしまったのです。

 加えて8年弱あったアベノミクスの期間に企業業績が好転しました。多くの企業がIPO(新規株式公開)を果たしましたが、同時に新興市場のジャスダックとマザーズから東証1部に昇格する企業がたくさん現れました。

 ジャスダックから東証1部への上場には250億円以上の時価総額が求められているのに、東証2部やマザーズからは40億円以上で可能といった、ダブルスタンダードの問題などが取り沙汰されるようになりました。

 東証1部は、世界の機関投資家からの注目と成長期待を集め、かつ持続的な企業価値の向上に取り組んでいる企業の集まりでなくてはなりません。ガバナンス(企業統治)もしっかり効かせていることが求められます。

 ですが、全上場企業3700社のうち2200社が集中してしまうと必ずしもそうではない企業が混在するようになり、東証1部の特性が見えにくくなってしまっていました。再編を通じて上場基準を統一するとともに、各市場の特性をはっきりさせる必要があったのです。

再編後の最上位市場「プライム市場」の企業数は東証1部からどの程度絞られるものなのでしょうか。

 新市場区分の基準を基に20年3月時点のデータで計算したところ、500~600社は減りそうです。

 残念ですが、これまでは「東証1部に上場したらもう安心だ」という企業が少なからずありました。持続的な企業価値の向上に努める企業群をプライム市場に集めたいと考えています。

 ただし、移行時には基準には達していないけれども、プライム市場に合う企業に変わる努力をする企業に対しては経過措置を設けています。企業の「変化」を我々は期待しているからです。

続きを読む 2/3 社外取の経歴にも多様性を

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