「ピンチをチャンスに」をモットーに、コロナ禍ではマスクの増産で商機をつかんだ。注力する家電事業の拡大で2022年にグループ売上高1兆円を掲げる。今、存在感を示す原動力はどこにあるのか。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

(写真=阿部 勝弥)
PROFILE

大山 健太郎[おおやま・けんたろう]氏
1945年生まれ、75歳。大阪で父親が経営するプラスチック加工の大山ブロー工業所(91年にアイリスオーヤマに社名変更)を、父の死に伴って19歳で引き継ぐ。中身が見える衣装ケースや、ペットが室内飼いへと変わる潮流を見て「猫の砂」を開発するなど、独自アイテムを次々に生み出す。東日本大震災を機に、LED照明事業へ本格参入。生活家電や食品へと事業領域を広げ、2022年にグループ売上高1兆円の目標を掲げる。18年に社長の座を息子に譲り、会長に就任。

新型コロナウイルス禍によって、人々の生活や考え方は大きく変わりました。どのように見ていますか。

 働き方の変革はもちろん、地方分散の時代が来るのではないでしょうか。東京の一極集中は、企業にとっての効率を優先してきた結果です。企業や行政機関が集中していて便利ではあります。ただ、そのために毎朝大量の人々が満員電車に揺られて通勤を余儀なくされる。会社で働く7時間のために、往復で通勤に3時間かける人もいる。その中には企業活動を内側から支えるバックオフィス人材も多い。

 東京には優秀な人材を採れるというメリットもあります。機能としての東京は大事だと思いますが、すべてが東京になければならない理由はない。

アイリスオーヤマは1989年に本社を大阪から仙台に移転しました。地方分散の時代を先取りしています。

 米国ではマイクロソフトやアマゾン・ドット・コムがシアトルやその周辺に本社を置いています。アメリカ大陸から見れば、北西部のものすごく不便で辺ぴな場所です。でも住環境がいい。欧米では住環境のいい場所に優秀な人が集まる。仙台のような地方の中核都市も住環境として非常にいい。ただ、日本はこれまで、優秀な人材が東京に吸い取られてきた。地方の都市がもっと中核として大きくならないと、日本の将来は厳しいのではないでしょうか。

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