日本ペイントHDがシンガポールのウットラムグループの塗料事業を1.3兆円で買収した。その代わりにウットラムが約6割を持つ株主になったため、「乗っ取られた」という見方もある。三菱UFJフィナンシャル・グループ出身の田中社長に真意を聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=村田 和聡)
PROFILE

田中正明[たなか・まさあき]氏
1953年生まれ。77年東京大学法学部卒業、三菱銀行入行。2012年に三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長。銀行マン時代は米ユニオン・バンク・オブ・カリフォルニア頭取を務めるなど国際畑を歩んだ。18年に産業革新投資機構(JIC)社長に転じたが、経済産業省と対立し4カ月で辞任。ウットラム総帥のゴー氏に請われ19年に日本ペイントホールディングス会長、20年から社長CEOを兼務。

1月にウットラムグループとのアジア合弁を完全買収しました。その代わりにウットラムが日本ペイントホールディングスの6割の株を握るスキームです。いつ誰が考えたのでしょうか。

 私です。誰からの提案でもありません。私が原案を作ってメリルリンチ日本証券(現BofA証券)から来てもらった若月雄一郎CFO(最高財務責任者)に実務をやってもらいました。2019年の9月に会長だけでなく社長兼務になることが決まり、もう一度しっかりと会社を分析しました。成長、発展するには51%出資だった合弁を完全子会社にすることが大事だと思ったのです。

 ウットラムとの間には過去に(株主提案や株の買い増し要求など)いろいろありました。でももう60年も一緒にビジネスをやっているんです。最終形はこれしかないのではないか。ウットラムにはゴー・ハップジン総帥という百戦錬磨の華僑、しかも知的レベルの極めて高い人物がいます。かたやこちらは大阪の塗料メーカー。だけどすごくグローバルになっている。両者が寄っていくプロセスが見えました。最後はアジアを一体化して将来の展開につなげるのが一番いいと思ったのです。

続きを読む 2/4 「田中を代える」と言ったら…

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