新型コロナウイルスの感染拡大で、働く人々にとってのオフィスの位置付けは一変した。出社人数が減り、印刷回数もめっきり減った。複合機の存在価値が徐々に低下している。複合機を主力にするリコーは、このピンチをどうしのぐのか。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=陶山 勉)
PROFILE

山下良則[やました・よしのり]氏
リコー社長・CEO。1957年兵庫県生まれ。80年広島大学工学部卒業、リコー入社。資材部門で購買業務に従事する。香港の海外部品調達事務所開設や、フランスや中国の工場立ち上げなどを経験。2008年から3年間米国の生産子会社社長を務め、帰任後は総合経営企画室長に。14年から複合機やITシステムなどオフィス向け事業を統括する部門の事業本部長を務め、16年に副社長就任。17年4月から現職。5年ほど前に始めた小唄でリフレッシュする。

リコーは新型コロナウイルスの影響を特に受けやすい業種です。足元の需要動向はどうなっていますか。

 世界的に出社が減った影響は大きかったです。4~5月には日本も欧米も出社率が下がり、印刷量が激減しました。その結果、4~9月期の売上高は前年から20%以上も減りました。その後、印刷量は戻りつつあったのですが、10~11月から再び感染が拡大して、欧州では都市のロックダウンも始まった。通期見通しを下方修正して、営業利益予想を490億円の赤字にしました。経営環境としては非常に厳しいです。

1月以降や来期の需要はどうでしょうか。やはりコロナ次第ですか。

 仕事のやり方が落ち着いてきて、ある程度は戻るとみています。

 ただ、本来は印刷しなくても仕事ができるのに印刷していたところがあります。これまではデジタル技術が進歩しても「やってみよう」という動機がなかなか生まれなかった。それが、コロナの影響でリモートワークなどの新しい働き方をやってみたら結構うまくいくじゃないか、となりました。その部分は確実に減ります。だからコロナ前の水準には戻らないでしょうね。

印刷量は毎年3%減

 2021年の夏ぐらいには9割まで戻ると期待していますが、戻る時期によっては難しいかもしれません。なぜなら、印刷量は毎年3%ぐらいずつ減ってきているんです。戻ってくる時期が先に延びるほど、そもそもの減少傾向の影響が大きくなります。

18年までに構造改革のめどをつけて19年3月期は業績が回復しましたが、前の期は減収減益になりました。業績悪化の前触れだったのでしょうか。

 20年3月期の営業利益が目標としていた1000億円にいかなかった(実績は790億円)原因は、明確にコロナです。1~3月に相当減速しましたから。あれがなければ達成は見えていました。

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