ユーチューブで素人がいきなり有名になる世の中です。プロダクションの存在意義が問われませんか。

 ある程度、淘汰されると思います。今まではテレビに出るにはプロダクションに入るのが普通だった。でもユーチューブで食べていくなら1人でできちゃいますよね。一方、劇場は1人ではできませんし、お笑いというエンターテインメントを目指す人たちには、吉本の存在意義はあります。

岡本さんはテレビ世代ですよね。寂しさはありませんか。

 だから頑張ってほしい。テレビ局は我々の株主でもありますし仕事も頂いていますし。でも、今の若手は劇場のほか、ユーチューブやツイッターでファンを広げていく。そうした中で、テレビにもどう出ていくか、もはやそういう時代です。

地域とアジアとデジタルを融合

BS放送の事業者になり21年度中に「よしもとチャンネル(仮)」を開設するのも、そんな危機感の表れですか。

 地方創生にフォーカスして、課題解決を番組化していこうと考えています。課題を解決することを事業にしていきます。

 そうすることで、これまで接点がなかった地域の企業に対して、例えばSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みをアピールする活動のお手伝いを所属タレントがしたり、一緒にコラボグッズを作ったり。

アジア進出にも力を入れていると聞きます。

 来年、上海で劇場を現地企業と共同で開きます。中国は大きなマーケットですから。昨年、新喜劇を上海でやったらウケました。これはいけるなと。

 それと、うちの会社はやっぱり漫才なので。漫才は2人いればあとはマイク1本だけでできます。漫才を世界中に持っていきたい。そしてローカライズして、現地の子どもたちがスターになれる仕組みとノウハウを提供できればいいですね。

 タレントの数が増え、才能も多種多様になっています。仕事の場所を創出する意味でも、地域とアジア、そしてデジタルを組み合わせて、事業化していきたいと思っています。

吉本興業といえばテレビ番組を牛耳っているイメージがあります(笑)。それでも多様化を急ぐのはテレビ世代としてショックです。

 牛耳っていたらあんな騒動の報道は止められますよ。ノーガードで打たれっ放しでしたから、吉本はテレビ局に何の影響力もないことがよく分かりました(笑)。

傍白

 村八分の文化が根強く残っているのか、水に落ちた犬を集団でたたく光景がワイドショーでは繰り返されています。善vs悪の対立構図を作り勧善懲悪で留飲を下げるのは、昼にドラマ「水戸黄門」の再放送を見ているようなものかもしれません。昨年は岡本さんのちょっと悪そうに見えてしまう風貌がヒール役にハマってしまいました。

 吉本興業はインターネットで開かれる新しいメディアへの傾斜を強めるでしょう。私たち旧来型のメディアはコンテンツそのものと、電波や紙といった伝達手段が事業のよりどころでした。ネットで伝達手段は揺らいでいます。岡本さんの謝罪会見で5時間も同じような質問を繰り返しているようでは、コンテンツ力の方も危ういのかもしれません。

日経ビジネス2020年12月21日号 46~49ページより目次
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