日本の総合化学大手で初めて、外国人社長を起用する決断をした。ベルギー出身のジョンマーク・ギルソン氏に、4月から経営のかじ取りを託す。深くかかわった人選の経緯、背景にある危機感について聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=竹井 俊晴)
PROFILE

小林 喜光[こばやし・よしみつ]氏
1971年東京大学大学院修了。イスラエルのヘブライ大学留学などを経て74年三菱化成工業(現・三菱ケミカル)入社。2007年4月三菱ケミカルホールディングス社長、15年会長。15年4月から4年間、経済同友会代表幹事を務めた。政府系の役職では現在、総合科学技術・イノベーション会議議員、規制改革推進会議議長を務めている。

全世界注目の米大統領選は民主党のバイデン前副大統領が当選確実になりました。どこに期待していますか。

 ポピュリズムと独裁の色が強かったトランプ政権に比べれば、ベターな選択と評価しています。世界の軸になるべき米国が、自国ファーストでは誰もが困る。あちこちに壁や分断線ばかりつくる手法は、うまくいく確率より世界が崩壊する危険性の方が大きいとずっと思ってきました。米国民自身がその点に気づいた結果と言えます。

年齢を心配する声もあります。

 あまり関係ないのでは。僕だって74歳でトランプ氏と同じ年。80代で現役バリバリの経営者もいるし、40~50代でもやる気のないやつもいる。もう年齢で判断する時代じゃないんですよ。

 バイデン氏は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を唱えています。米中間の摩擦は長引く可能性が高いけれど、大国のパリ協定離脱という異常事態が解消されるだろうと少しほっとしています。

資本主義の形もこれから変わってくるでしょうか。

 今は、世界で資本主義の最適化のプロセスを探っている段階。米国では株主最優先の資本主義に揺り戻しが起きている。反対方向にいた日本企業も、「三方よし」など生ぬるいことを言っていてはダメで、何だかんだ生産性や資本効率を上げないといけない。何はともあれ儲(もう)けなければいけない。日本企業と日本の資本主義の形も、少しずつ変わってきた気はしています。

続きを読む 2/4 新社長人選も異例の「非対面」
日経ビジネス2020年11月30日号 82~85ページより目次

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