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コロナ禍は、国内メガバンクをはじめ金融機関の経営もむしばもうとしている。だがこうした国難の今こそ、自らの業態の変革が最も欠かせないと考える。激動下で、再興シナリオと近未来図をどう描くのか聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=北山 宏一)
PROFILE

太田純[おおた・じゅん]氏
1958年生まれ。82年京都大学法学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)入行。ストラクチャードファイナンス営業部長、投資銀行統括部長などを経て、2017年三井住友フィナンシャルグループ副社長、19年4月から現職。社長就任後、「カラを、破ろう。」のスローガンを打ち出し、従来の金融業務の枠にとらわれない新規事業を積極的に支援している。

新型コロナウイルスの感染拡大が経済に多大な影響を及ぼしています。御社の場合で、いわゆる「与信」の費用は今期4500億円。収束が見通しにくい中、この額で足りますか。

 私たち金融業は「GDP(国内総生産)ビジネス」なのですよね。日本経済が伸びると業績も伸びる。今、コロナの影響もあって潜在成長率は1%を切り、経済活動が急減速していますので、当然ながら業績にダイレクトに負の影響を受けています。業績が悪くなっている取引先企業が多くあるので、我々のトップライン(売上高)もボトムライン(利益)も大変苦しくなっている。これは偽らざるところです。

 与信コスト4500億円は、マクロ・ミクロ両方のアプローチで算出しています。マクロは今年度初めに想定したよりも悪くなっていますが、ミクロに関してはそれほど大きな狂いはない。海外で一部、大口で経営悪化がありましたが、今のところはほぼ想定の範囲内と考えています。

「ゾンビ企業」存続に注意払う

中小企業はコロナ禍でさらに苦境に追い込まれそうです。特に経営基盤の弱い地域金融機関に影響が出そうです。

 日本の金融システムそのものに影響が出てくるとすれば、まさにそのルートが一番、懸念されます。中小企業がコロナでダメージを受け、地域金融機関の不良債権比率が高まり、金融システム全体に影響を及ぼす流れです。

 ただ、2008年のリーマン・ショックと比べると様相は異なります。当時は、金融機関の経営破綻を発端とした危機だっただけに体力が弱っていたところもありましたが、今回は総じて資本は十分で貸し出し余力もある。

 無論、赤字続きの「ゾンビ企業」をどうするかという議論はかねてあり、コロナ対応の実質無利子・無担保融資などでそうした企業を生き延びさせるかもしれない。その辺はよく注意したいと思います。

日経ビジネス2020年9月28日号 62~65ページより目次