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新型コロナウイルスに対応し、いち早く中断したJリーグの試合が順次再開している。経営に打撃を受ける56クラブを束ね、未曽有の危機を乗り切るためにあらゆる手段を尽くす。リクルートから転じ、リーグをよみがえらせた手腕でコロナに抗えるか。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=栗原 克己)
PROFILE

村井満[むらい・みつる]氏
1959年埼玉県生まれ。83年に早稲田大学法学部を卒業し、日本リクルートセンター(現リクルートホールディングス)に入社。リクルートエイブリック(現リクルートキャリア)社長や海外法人のRGF Hong Kong Limited社長などを歴任。Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)では2008年から理事を務め、14年から現職。日本サッカー協会の副会長も兼務する。

2月に中断したJリーグは6月27日からJ2、J3、7月4日からJ1と順次再開となりました。今はどんな心境でしょう。

 今回、再開は決めましたが、新型コロナウイルスは完全に収束したわけではありません。これからまだ色々なことが起こる可能性があり、緊張しています。産業界は経済活動を止めるわけにはいかないけれども、コロナ以前のようにアクセルを踏むこともできないと感じている。スポーツもこのジレンマの中にあります。

 でもやはり、スポーツにはすごく大きな力がある。多くの人が待ち望んだサッカー、野球が再開することになり、ほっとしました。

再開の判断基準は。

 中断したときから再開するのは非常に難度が高いなと思っていました。日本野球機構(NPB)と協力しながら感染症の先生をお招きして話を聞きました。Jリーグは56のクラブがあり、今回の感染症は地域差が非常に大きいため全国8カ所の地域医療の専門家のアドバイスも丁寧に聞いています。

 サッカーは1試合で13〜14km走ります。消耗するため免疫力が落ちると報告されています。フィジカルコンタクトも強く、新型コロナを持つ選手がいたら、一気に広がる可能性がある。PCR検査を全選手に一定のインターバルで行うめどが付いたことも再開にかじを切るポイントになりました。

全選手のPCR検査を実施。写真は元日本代表の大久保嘉人選手(写真=Jリーグ提供)
日経ビジネス2020年7月6日号 66~69ページより目次