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コロナ禍は、グローバリゼーションに依拠する総合商社のビジネスを大きく揺さぶる。早まった時計の針が直面している課題を鮮明にあぶり出し、事業モデルの変革をさらに急ぐ。蓄積されたインテリジェンスを生かし産業の“本山”として成長に挑む。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=陶山 勉)
PROFILE

垣内威彦[かきうち・たけひこ]氏
1955年兵庫県生まれ。79年に京都大経済学部を卒業し、三菱商事に入社。オーストラリア駐在、畜産部や食糧本部を経て、2006年に生活産業グループCEO(最高経営責任者)オフィス室長。10年に執行役員に就任し、13年に常務執行役員・生活産業グループCEOを経て、16年4月から現職。

新型コロナウイルスの感染拡大が、世界経済に打撃を与えています。グローバル化が成長をけん引してきた三菱商事にも大きな影響が出ていますね。

 「需要が蒸発した」という言い方をしています。一時マイナスにまで落ち込んだ原油の先物価格、市況が良いとは言えない原料炭、東南アジアを中心に関わる自動車事業。この3つのカテゴリーでは鋭角的な影響が出ています。

 この先、V字回復するとは見ていません。おそらくU字になる。ポイントはU字の底をどうしのぐかですが、三菱商事は財務的にオロオロするような体質ではありません。

 既にコロナ以前から様々な変化が起きていました。グローバリゼーションについては、米中の対立で見直しが迫られていたところにコロナの問題が加わり、これまでの変化が劇的にクローズアップされました。いわば、コロナは(本質を映す)鏡です。

 社長就任以来、私は「変化への対応力をつけなければならない」と話してきました。コロナで課題が鮮明にあぶり出されたことは事実ですが、突発的な変化ではないと認識しています。

時計の針の進み方が早まったと。

 そう捉える方が、現実的でしょう。

日経ビジネス2020年6月22日号 60~63ページより目次