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コロナ禍で業務用ビールの販売が激減し、経験したことのない試練に直面している。地道にブランドを育て、若者の支持を集めるなど結果は出ていた。今、地力が問われている。個性的だが収益力で劣っていた業界4番手の巻き返し戦略を聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=稲垣 純也)
PROFILE

尾賀真城[おが・まさき]氏
1958年東京都生まれ。82年に慶応義塾大学法学部を卒業し、サッポロビールに入社。97年の東京支社流通営業部長を皮切りに、営業部門の要職を歩んだ。2006年に東京統括支社長、09年に執行役員・北海道本部長、10年に取締役兼常務執行役員・営業本部長を務める。13年3月にサッポロビール社長およびサッポロホールディングス取締役兼グループ執行役員に就任した。17年3月から現職。

新型コロナウイルスによる事業への影響をどう見積もっていますか。

 国内のビール類総需要が前年比で3月は1割、4月は2割減り、5月も同様に厳しい状況でした。市場の約3割を占める飲食店に供給する業務用の落ち込みが深刻です。初夏のビール日和の中、私も1カ月以上、ジョッキで生ビールを飲みませんでした。40年近く働いていて、初めてです。缶ビールや家庭向けの食品の需要は逆に伸びていますが、トータルでプラスは望めません。

業務用が戻るめどは立ちますか。

 コロナ以前の業務用の需要が丸々復活するというのは難しいかもしれません。巣ごもり消費が広がり、改めて「外で飲む」ことの意味が問われている気がします。お客様が価格と価値を慎重にてんびんにかけて行動するようになっている。業務用はこれから長い戦いになると覚悟しています。前向きに何ができるかを真剣に考えようと、社員には声を掛けています。

社員が新型コロナに感染しました。

 1人だけ感染が判明したのですが、コロナ対応を早めに実施していたことが奏功し、拡大を防げました。3月にサッポロホールディングスとサッポロビールの社員の7~8割を在宅勤務にした後に感染が分かり、その後も自宅にいてもらったため、他の社員との接触が少なくて済みました。

日経ビジネス2020年6月15日号 60~63ページより目次