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27歳で起業した事業会社は連結売上高2000億円規模のグループに育った。コロナ危機を目の当たりにしてグループをいち早く在宅勤務に移し、働き方改革の指揮を執る。その先に見据える会社組織の未来像、これからの取り組みを聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

PROFILE

熊谷正寿[くまがい・まさとし]氏
GMOインターネット会長兼社長。1963年長野県生まれ。国学院大学付属国学院高等学校中退、85年に放送大学入学(特修生)、90年に在学期間満了で除籍。91年、ボイスメディア(現・GMOインターネット)を設立、代表取締役就任。95年、インターネット事業に参入。99年に株式店頭公開。2005年に東京証券取引所1部上場。

他社に先んじ在宅勤務に移行しました。なぜ迅速に決断できたのですか。

 呼吸器系の感染症でパンデミックが発生すると、感染者の10%前後の方が亡くなっているそうです。調べてみると100年前のスペイン風邪もそうでした。新型コロナウイルスは今年1月26日の時点で中国での感染者数が1975人で死者56人でしたが、現地の病院がいっぱいになっている状況がインターネットでどんどん入ってきていた。

 日本の入国検疫も現在のように厳格ではありません。関西や東京は中国人観光客が多く、従業員を出勤させるわけにいかないという判断が働きました。

実際に在宅勤務を始めて、社内は混乱しませんでしたか。すぐに対応できたのでしょうか。

 東日本大震災をきっかけに本格的にBCP(事業継続計画)を作っていました。毎年、在宅勤務の訓練をしてマニュアルを準備し、設備を整えていたので、スムーズに移行できたというのが正直な感想です。職種や部署、家庭の環境によりますが、結果として生産性や生活の質が上がったという従業員が一定数います。

 これは今後の経営にも生かしたいと思い、在宅勤務を通常時の体制にも組み入れることにしました。週5日勤務のうち1日から3日、グループの推奨としては2日を在宅勤務にします。これにオフィスのフリーアドレス化を組み合わせることで、未来の家賃コストを40%削減できるようにします。削減分のうち50%は従業員に還元し、50%は利益計上するという考え方です。

 グループ従業員の半数以上はこの制度の対象になると思います。パンデミックは長引くと思いますが、その間に我々のグループは在宅勤務を取り入れて変身してしまおうと考えています。

日経ビジネス2020年5月4日・11日号 46~49ページより目次