新型コロナウイルスが供給網の寸断と需要の蒸発という難題を産業界に投げかける。「産業のコメ」とされる半導体のルネサスエレクトロニクスは影響を強く受ける一社だ。政府系ファンドから転じた柴田氏はルネサスをどう導くのか。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=吉成 大輔)
PROFILE

柴田英利[しばた・ひでとし]氏
1972年生まれ。95年東京大学工学部卒、JR東海入社。米ハーバード・ビジネス・スクールでMBA(経営学修士号)を取得。MKSパートナーズ、メリルリンチ日本証券を経て、2009年9月に産業革新機構入社。13年10月からルネサスエレクトロニクス取締役。執行役員常務兼CFO(最高財務責任者)を務め、19年7月から社長兼CEO(最高経営責任者)。学生時代はバックパッカーとして世界を巡っていた。新幹線の運転免許も保有する。神奈川県出身。

新型コロナウイルスが産業界に深刻な影響を及ぼしています。半導体業界の現状はいかがでしょうか。

 中国や米国などでの自動車販売を見ていると、間違いなく大きな影響が出ます。どのぐらいの大きさかを判断するには時期尚早ですが、落ち込みは大きいでしょうね。

 2つの側面で影響があります。まず、目先の生産や販売が減少すること。これは短期的な業績に表れるでしょう。とはいえ、問題が収束して需要が回復すれば来年ぐらいには戻ってくると思います。

 もう一つの影響が、新しい商談の減少です。中期的にはこれが大きい。自動車業界の企業が財務的に厳しくなると、開発の遅延が発生します。場合によっては、2年ほど今の技術を延命させて、技術の世代を1つ飛ばして新しい世代に一気に移る企業も出てくるでしょう。「この時期にこういう技術が立ち上がってくる」という我々の想定から大きくずれる可能性があります。

産業やIoT(モノのインターネット)の分野はどうでしょうか。

 5G(第5世代移動通信システム)やデータセンターなどのインフラ分野はむしろ強くなる状況です。これまで以上に通信網やネット上のサービスの重要性が高まっていますし。IoTも、中長期的に伸びていくという方向感は変わりません。産業分野ではスマホの需要落ち込みの影響はありますが、中国のFA(ファクトリーオートメーション)の需要や、ヘルスケア分野の需要が拡大するでしょう。

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