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感染拡大が続く新型コロナウイルスは航空業界にも大きな打撃を与えている。国内最大手のANAホールディングスも例外ではなく、年間1兆円もの減収の可能性もある。かつてない危機をどう乗り切るのか。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=竹井 俊晴)
PROFILE

片野坂真哉[かたのざか・しんや]氏
1955年生まれ、鹿児島県出身。79年東京大学法学部卒業後、全日本空輸(ANA)入社。主に人事部門を歩み、2004年人事部長を経て、09年取締役。11年常務、12年専務、13年にANAホールディングス副社長、15年から現職。64歳。

新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。航空業界でも運休、減便が相次ぐ未曽有の事態となっています。

 本当に苦しい。まだどれほどの影響か確定していない部分がありますが、私のビジネスマン生活では最も大きな事態なのではないかと感じています。

 すでに国際線では約8割、国内線でも約2割減便しています(4月1日時点)。旅客数でも、4月の予約は国際線が8割減、国内線は6割減です。2000年以降を見ても、03年のSARS(重症急性呼吸器症候群)や08年のリーマン・ショックといったさまざまな非常事態に直面しましたが、それ以上。人の移動が全産業にわたって、これほど制限される状況はありませんでした。

危機を繰り返してきた航空業界ですが、備えはありましたか。

 震源地となった武漢には総領事館がありません。だから、日本には現地の情報がなかなか入ってこない。ですが、直行便を飛ばす弊社の支店からは現地の様子が早くから伝えられていました。私や会長の伊東(信一郎)はSARSを思い出し、大変なことになるのではないかと感じました。これはやばいなと。そこで1月にリスク担当の役員名で社内に注意喚起文を出しました。ダボス会議に行っている間もずっと気になっていました。

日経ビジネス2020年4月13日号 84~87ページより目次