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働き方改革で先手を打ってきたが、コロナショックを受けて見直しに着手する。ジャガイモを経営の軸に据えて農業の現場まで入り込み、流通を一手に握ろうとしている。松本晃氏が退任して2年。カリスマ後の経営のかじ取りを聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=竹井 俊晴)
PROFILE

伊藤 秀二[いとう・しゅうじ]氏
1957年生まれ、福島県出身。79年法政大学経営学部卒、カルビー入社。2001年東日本カンパニーCOO(最高執行責任者)、04年じゃがりこカンパニーCOOなどを経て、09年社長兼COO。松本晃氏の会長退任に伴い、18年6月より社長兼CEO(最高経営責任者)。日本スナック・シリアルフーズ協会の会長も務める。

新型コロナウイルスの感染が拡大しています。以前から取り入れている在宅勤務を活用しているのでしょうか。

 2017年からモバイルワークを導入していましたが、こういう状況になってみると、実際はちゃんとできていなかったなと感じます。若い人は抵抗がなくても、全員がそうではない。それにモバイルワークができるのは全社員の一部です。工場ではそもそも取り入れるのが難しい。生産が止まってしまう。以前から、何となくモバイルワークをやれる雰囲気はつくっていましたが、それだけでは駄目です。何のためにするのか、本質的なところまで考えなければなりません。

 対面でなければできない仕事とツールを使えば間に合う仕事を考え直すいい機会だと思います。私たちだけでなく取引先も含めて、お互いが無駄をなくして、生産性を高めていく。新しい仕事の形をどうやってつくっていくのか、ロスをどうやって減らすのかといったことを考えていかないといけない。

日本企業はこれまでやってきたことの延長線上で物事を捉えがちでしたが、今回はそれだけでは対応できません。

 どうやって付加価値を生んでいるのかを冷静に考えるべきです。かといって、単純に時間を減らすとか、数字を上げるとか言っても、なかなか容易でないところがある。仕事を楽しんできちんと成果を出していけるようにもならないと。そういう意味ではこれを機に、いろんな人が実力を出せる会社にしていかないといけない。

 例えば女性の管理職は全体の二十数%いますが、違う面で活躍したいという人がいてもいい。もちろん女性の管理職比率を下げることはないし、30%くらいまではいくと思います。ただ、男女ともに管理職以外の選択肢があっていい。以前は単線的なキャリアでしたが、今はマネジメントだけではなく、エキスパート的な仕事もあり、キャリアを複線化しています。

年功要素は減らし、ポストに給与をひも付ける方が合理的ではないですか。

 それもありますね。実際、ジョブ型の採用をしたこともありました。中途入社組はあまり問題ないのですが、新卒は難しかった。最初は営業で入ったけど、途中で変わりたいという人も出てきます。大学教育が変わらないまま、企業だけがジョブ型にしてもかみ合いません。大学でキャリアについても考えられるようにすればいいと思うんですけどね。