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海外M&Aで成長を重ねてきたJTに、かつてないほどの逆風が吹いている。国内外を問わず、たばこ規制が強まり、販売数量も減少傾向にある。SDGsの流れも避けられない中、世界のライバルとどう戦うのか。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=的野 弘路)
PROFILE

寺畠正道[てらばたけ・まさみち]氏
1965年生まれ、広島県出身。89年京都大学工学部卒業、JT入社。英マンチェスター・タバコや、米RJRナビスコの米国外事業の統合作業に携わり、2008年経営企画部長。13年取締役兼JTインターナショナル副社長。18年から現職。20年1月からはたばこ事業本部長を兼任している。

2018年に社長に就任された時は52歳という若さで目を引きました。海外での経験を買われたのでしょうか。

 私が入社した当時のJTは国内たばこ事業の一本足でした。その頃から、医薬や食品といった多角化と、M&Aを通じた国際化の両方を模索します。私は国際化に長く携わりました。今では売上高も利益も海外比率が3分の2になっています。グループの成長の流れから見て、私がJT全体を率いるのが適切と判断いただいたのかなと思います。

M&Aに伴う組織の統合を手掛けてこられました。1+1を2以上にするのは机上では計算できても、実際は難しいものです。

 これまでの経験から、大事なのはフェアに扱うことだと感じています。買った側は自分たちのやり方でやりなさいと言いがちですが、それはおかしな話。その会社を迎え入れるのですから、グループの一員です。これを間違うと入ってきた人のモチベーションも下がり、買った方の意識もおかしくなる。

 人事や評価、仕事のやり方など、JTと買収先のものを全部、テーブルに乗せ、どちらがグループの成長のためにいいのかを議論します。議論を重ねることで互いに信頼できるようになる。こういう小さな積み上げが大事です。

 ただ、経営理念は共通の理解を持ってもらう。JTは中長期の視点でビジネスを育て、「4Sモデル」と呼ぶ、お客様、株主、従業員、社会に対しバランスよく貢献していくという考え方があります。これは譲れないので沿えない人はJTグループで働いてもらうのは難しい。

日経ビジネス2020年3月9日号 82~85ページより目次