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インターネットを軸に証券、保険、銀行などを傘下に収める金融コングロマリットを築き上げた。経営難の地方銀行に出資し、「地銀連合構想」を描くなど、規模拡大に余念がない。金融業界激変の中、次に何を仕掛けていくのか。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=的野 弘路)
PROFILE

北尾吉孝[きたお・よしたか]氏
1951年兵庫県生まれ。74年慶応義塾大学経済学部卒業、同年野村証券入社。78年英ケンブリッジ大学経済学部卒業。ニューヨーク勤務、野村企業情報取締役などを経て退社。95年ソフトバンク常務取締役に。企業買収、財務戦略に携わる。99年ソフトバンク・インベストメント(現SBIホールディングス)社長、2006年、ソフトバンクがSBIホールディングスの株を売却したことで資本関係を解消し独立。

全国の地方銀行と提携する「地銀連合構想」を掲げ、島根銀行や福島銀行などへの出資を次々に決めています。その狙いは何でしょうか。

 地方創生は、日本を再び成長させる上での大きな課題の一つです。しかし、その原動力として機能しなければならないはずの地銀に元気がありません。

 そんな社会的課題の解決となり、かつ、SBIグループ傘下の銀行、保険、証券の業績を伸ばすことにもつながることができないかと思ったのがそもそもの始まりでした。互いにウィンウィンの状況を作り出す。そのためにまず始めようとしているのが地銀にシステム技術基盤を提供することです。

 地銀改革は、お客さんが減っているからと、同じ地域にあるA銀行とB銀行をくっつければ済む話ではありません。規模の問題ではなく、質的改善、すなわち経営効率を上げていかなければならないのです。

 中でも多くの地銀が頭を悩ませているのがシステム面の維持管理コストです。単独では負担が重くても、皆で共通の基盤を使えば最新技術を安く導入できます。ATMの共通化や勘定系システムの構築、マネーロンダリング対策と、多額の投資を要する技術を共通のプラットフォームにして共用すれば、負担は軽くなり収益性も改善できる。

 ほかにも金融商品の提供や遊休不動産の活用といった分野でも手を組もうと考えています。互助の精神を持って地方創生の問題に取り組みたいですね。

日経ビジネス2020年3月2日号 80~83ページより目次