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就任5年目に入り、生産体制や部品メーカーの再編など矢継ぎ早に改革を打ち出している。チャレンジする風土を失わないために、事業の土台を固めるのがその狙いだと言う。「トヨタともけんかをしなければ」。そんな気概も見せた。

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(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=陶山 勉)
PROFILE

八郷 隆弘[はちごう・たかひろ]氏
1959年神奈川県生まれ。82年武蔵工業大学(現・東京都市大学)卒業、ホンダ入社。北米向け「オデッセイ」や2代目「CR-V」の開発に携わったほか、生産や購買など幅広い職種を経験。米国や英国、中国など海外経験も豊富。2011年鈴鹿製作所長、中国生産統括責任者などを経て15年6月より現職。歴代社長が経験してきた本田技術研究所社長を経験しない初の社長。趣味はプラモデル。60歳。

ホンダの今をどう捉えていますか。

 事業の幅が広がり、全体としては順調に伸びてきたと認識しています。ただ自動車産業は大きな転換期の最中にあります。次の展開に向けたシフトチェンジがうまくいっていない部分はあります。象徴的なのが四輪事業で、さらなるシフトチェンジが必要です。

四輪事業は2018年度の営業利益率が2%を下回りました。収益性の低さはどこに原因がありますか。

 販売金融も含めると3%を超えますが、それでも高くはありません。リーマン・ショック以降、事業体制を「米国一本足」から世界6極へと切り替えました。各地域での成長を目指したのですが、一部で生産の構えと販売にギャップが生じています。

 派生車種が増え、コスト高になっている面もあります。地域ごとに事業軸、機能軸の力の入れ具合を制御し、複雑になっている生産開発体制をよりシンプルにしていく必要を感じています。

英国の撤退など生産体制見直しを進めています。一連の対策が完了すれば、身の丈に合った規模になりますか。

 年間生産12万台以上の大規模拠点はほぼ見通しがつきました。ただ、北米などで生産効率性を高めるのは課題です。米国で最初の工場を構えたのは40年ほど前ですが、車種はアコードだけでエンジンも1種類。すごくシンプルなモデル構成でした。

 今はラインアップや派生型も増え、ライトトラック、乗用車と違った作り方のモデルが混在しています。1工場3モデル、1モデル2工場くらいで生産する体制にしたいと考えています。

日経ビジネス2019年12月2日号 44~47ページより目次