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政治家も輩出するプリツカ一家を率い、会長を務めるハイアット・ホテルズ・コーポレーションは、米国やアジアを中心にホテルチェーンを展開している。その傍ら、戦略国際問題研究所(CSIS)の議長にも就き、国際関係の論客としても知られる。ホテルビジネスや米中関係の行方、そして、家族のルーツを聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=的野 弘路)
PROFILE

トーマス・プリツカー氏[Thomas Pritzker] 氏
1950年米シカゴ生まれ。シカゴ大学で経営学修士(MBA)、法務博士取得。76年法律事務所に勤める。77年からハイアットの事業を手伝い始め、80年にハイアット・コーポレーション(現ハイアット・ホテルズ・コーポレーション)の社長に就任。99年に会長兼CEO。2000年代には数百に及んだ一族の事業の整理を進める。現在は戦略国際問題研究所(CSIS)の議長も務める。個人でヒマラヤ地域の研究をしており、仏教にも造詣が深い。

「パークハイアット京都」の開業に合わせて来日したと伺いました。70室と小規模ですが、ハイアットにとってどういう位置づけの施設なのでしょうか。

 小さな規模だからこそ一人ひとりに合わせたサービスを提供できると思っています。私は仏教の研究をしており、京都に思い入れがあります。ホテルは清水寺に至る二寧坂に面した歴史ある場所にあります。ここならハイエンドなゲストに特別な体験を提供できるのではないかと思いました。

パークハイアット京都は低層建築で、敷地内には庭園もある

日本市場はどんな特徴があり、ビジネスでは何を期待していますか。

 日本には比較的早く参入し、1980年に「ハイアットリージェンシー東京」を、94年に「パークハイアット東京」を開業しています。今後のハイアットにとって日本は2つの意味で大切な市場です。1つは観光。日本は食べ物も人も文化も素晴らしい。自然も豊かです。もう1つはビジネス。国の富は今後、技術によって築かれます。日本は技術を持つ国ですから世界で重要な役割を果たすでしょう。

 その中でハイアットの武器は何か。幅広いブランドを提供できることですが、最も大きな競争力になりうるのは、私たちのDNA、「ケア」の概念です。

日経ビジネス2019年11月18日号 82~87ページより目次